初めて畑を借り、野菜作りをスタートする際に必要な道具についてのお話です。
畑で野菜作りとなると「クワやショベルなどが必要そうだな」という事ぐらいは想像できますが、初心者にとって、その他の道具となるとなかなかイメージしにくいものです。
そこで、実際に都心で畑を借りて野菜づくりをしている経験者のタバタさんに、レンタルした畑で野菜作りをする際に「初心者が最低限揃えるべき畑道具」についてうかがいました。
<プロフィール>
・約10㎡の畑(シェア畑)を借り初めての野菜作りをスタート
・現在は大きな畑(30坪=約100㎡)で様々な野菜を栽培中
・経験をもとに野菜の作り方をまとめた情報サイトを運営中
最低限必要な畑道具は?
──畑で野菜を作る際、絶対にこれだけは必要という道具について教えて頂けますか?
まず、畑仕事に必要な道具は畑の広さや土の状態によって変わりますので、絶対にこれだけあれば問題無いと言い切ることはできません。そのため、ご紹介する道具はあくまでも参考として頂き、実際は畑にあわせて道具をそろえてみてください。
参考までのご紹介になりますが、私は以下の道具で約30坪の畑を管理しています。
畑の準備に使用する道具
- クワ
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畑仕事に必ず必要な道具の筆頭はやはり「クワ」です。なかでも平鍬(ひらくわ)がおすすめです。クワは「土を掘り起こす」「耕す」「ならす」「うねを立てる」「溝を掘る」「土を寄せる」「雑草を削り取る」などが1つで何役もこなす万能な道具です。刃の長さが20から30cm程度の平グワが一般的ですが、クワにはいろんな刃の長さや重さがありますので、実際にお店で手にとり、一番しっくりくるクワを選ばれることをおすすめします。
- ショベル
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ショベルも用意しておきましょう。「土を深く掘る」「掘り起こす」「硬い土を砕く」などの作業で必要になってきます。また、「うね立て」「土寄せ」「根菜類の収穫」など、幅広い用途で活躍します。ショベルには刃先の尖ったタイプと四角いタイプがありますが、畑用としては尖ったタイプ(剣スコ)が1本あると便利です。
- マルチング資材
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うねを覆う道具で、材質はポリフィルム素材、藁などがあります。うねを裸の状態で野菜を育てるより、マルチング資材を使用することで、保湿・保温効果が高まり、野菜の生長が促進します。なお、雑草対策として使う場合は、ポリフィルム素材黒か緑のシートがおすすめです。野菜の苗を植え付ける場合は、穴が開いたもの、植え付け穴用のミシン目が付いたタイプもあります。
- メジャー
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畝幅や畝高、株間などを測る際に使います。少し高額な野菜植付専用のメジャーも存在します。
うねを立てた後に使う畑道具
- 支柱
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支柱は用途によって、長さ・太さ・形状が変わります。
「イボ竹支柱など」
おもに草丈が高くなる野菜が倒れないように支える道具です。イボ竹支柱は、表面の突起で枝を誘引しますが、天然素材の丈夫な竹を支柱も販売されています。
「トンネル用支柱」
うねにトンネルを作る時に必要になります。害虫、寒さ、強風、鳥獣の対策でトンネルを作る時、アーチ状の骨組みをつくる資材で、曲がるタイプと曲がらないタイプがあります。
- 防虫ネット
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支柱に被せてピンチ等で留め、害虫などの侵入を防ぎます。
- 紐類
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支柱の組み立て、野菜の茎と支柱の結束、野菜のツルを支柱に誘引する際に使用します。土に還る天然素材の麻ひもやコットンがおすすめです。
- ジョウロ
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ジョウロは水やり、液体肥料の散布に使用するため、大きめのサイズが便利です。ただし、たくさん水を入れると持ち運びが大変になりますので、なるべく本体の軽いプラスチック製、サビに強いステンレス製のものをおすすめします。なお、注ぎ口(はす口)を取り外せるタイプを選びましょう。先端のシャワーヘッド(はす口)の有無で、水やりの範囲、水圧を変えることが出来ます。
- 園芸ネット
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園芸ネットは支柱に張り、つる性の野菜(きゅうり、ゴーヤ、エンドウ豆、ナガイモなど)を誘引して育てる際に使います。また、鳥獣対策に使うことも出来ます。
剪定や収穫に使う畑道具
- 園芸ハサミ
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葉や茎を剪定したり、野菜を収穫したりする使います。そのほかに、肥料の袋やヒモを切る際や、マルチシートの穴をあける時も役立ちます。ハサミは日常用のものではなく園芸用を用意しましょう。使いやすさが格段に違います。
野菜を守る資材
- 防虫ネット
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目の細かいネットでうねのトンネルを覆い、害虫の侵入を防ぐ資材で、通気性、通水性、遮光性があります。また同時に寒さ、強風、鳥獣の対策にもなり得ます。網目が0.8mm以下の防虫ネットは、害虫のアブラムシを防ぐことが出来ますが、あまり細かすぎるものは野菜が生長しにくくなる場合があります。
- 被膜資材
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「寒冷紗」遮光、防風、保湿、霜よけに使うネットです。「不織布」合成繊維をからませた布です。トンネルや直接うねにべたがけして土の保湿目的に使います。防虫効果もありますのであると便利な資材です。
あると便利な畑道具
- 手持ち鎌
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おもに除草に使います。種類は様々で、柄の長い立作業用、てこの原理で使用する根起こし用、狭いところに生えた草を刈るネジリ鎌などがあります。切れ味の良いものを選びましょう。
- マルチ押さえ
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ポリフィルム素材のマルチシートが風で飛ぶのを防ぐ道具です。ピンタイプ、ヘアピンタイプなど様々な種類がありますが、マルチ押さえがなくても石などで仮押さえをしてマルチの周囲を土で覆う方法もあります。
- アメリカンレーキ
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アメリカンレーキは、土のかたまりを砕いて表面をならしたり、雑草、落ち葉、小石などを効率よくかき集めたりする道具です。 レーキは土づくりにおいてとても重要な道具になります。しかし、質の良いフカフカの土であれば、あまり必要としないかもしれません。 初心者から精度を上げた野菜づくりを目指すのならばレーキは用意しても良いかと思いますが、野菜をまったく作ったことのない場合は、まずクワとショベルから始めても良いと思います
- 三角ホー
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先の尖った三角形の鍬です。「土寄せ」「除草」「溝堀り」「地ならし」の際に活躍します。ホーがあると便利ですが、クワにてある程度代用できますので必ずしも最初から用意しなくても良いと思います
- 備中鍬
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刃の先がフォークのように分かれている鍬です。根菜類の収穫や、かたい土、粘土質の土を掘り起こす時に活躍します
そのほかにあると便利な畑道具
- コンポスト容器
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落ち葉や生ゴミなどを堆肥に変える道具です。
- 生ゴミ処理容器
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堆肥をつくるための生ごみの一次発酵に使用します。
- バケツ
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水や肥料、収穫した野菜を運ぶ時に便利です。肥料づくりでは材料を混ぜたり量ったりする時にも役立ちます。
- ピンチ類
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防虫ネット、寒冷紗、不織布などを固定させる時に使用します。洗濯ばさみを使うことも出来ますが、屋外で使用するためプラスチック製のものは劣化が早く割れやすくなります。
- カッター
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ポリフィルム素材のマルチを切断したり、野菜の苗の植え穴を開けたりするのに便利です。また、肥料の袋を開けたり、紐を切ったりする時にあると便利です。
- 板切れ
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うねの表面をならすなど、T型レーキの代用になります。板にマジックで目盛りを記入しておくと、メジャー代わりにもなりますので1本あると便利です。
- 丸底の湯飲み茶碗・お椀など
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種まきをする時にあると便利です。コマツナ、ダイコンなどの細かい種をいれるとつまみやすくなります
買わなくても良かった畑道具
──ご経験から初心者なら買わなくても良かったな、という畑道具はありますか?
私の場合は家族が使っていた道具を譲り受けて使っていますので、買わなくても良かったなという道具はありませんでしたが、あえて挙げるとすれば、竹ぼうきとビニール製の紐は特に必要なかったと思っています。
- 竹ぼうき
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竹ぼうきは畑の通路に落ちている抜いた草や落ち葉などを掃く目的で購入しましたが、手で十分かきあつめることが出来ましたので、特に必要はなかったと思っています。
- ビニール製の紐
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ビニール製の紐は支柱を縛ったり、野菜を誘引したりするために購入しましたが、ツルツルすべって外れやすいことが分かりました。紐の材質は使う方の好みもあるかと思いますが、私は麻の紐をおすすめしたいです。強度がありますし、天然素材で土に還りますのでゴミにならないからです。
市民農園やシェア畑の畑道具事情について
──最後に市民農園やシェア畑の畑道具について伺いたいと思います。まずは市民農園はついてお尋ねです。市民農園の場合、必要な道具は自分で用意する必要があると聞いています。以前タバタさんも市民農園をレンタルされていたそうですが、必要な畑道具を毎回持参されていたのでしょうか?
市民農園によっては自分の道具を置くことが出来るスペースがあるかもしれませんが、私が利用していた市民農園は道具置き場がありませんでした。そのため自分の区画内(畑の通路など)に畑道具を置いていました。
当然屋根はなく雨ざらしになっていましたし、鍵をかけて管理をすることも出来ませんでしたので、自己責任(盗難にあってもやむを得ない心づもり)にて置いていました。
なお、利用者の中には車にて毎回道具を持参している方もいらっしゃいました。
──毎回持参となると大変そうですし、置いておくにしても盗難は心配ですね。その点、必要な畑道具は最初から用意されているシェア畑は気軽ですね。タバタさんはシェア畑もレンタルされていましたが、シェア畑でも用意した方が良かった道具はありますか?
シェア畑は道具や資材が完備されていますので、特に自分で用意した方が良かった道具はありませんでした。
ただし、常備品以外で使いたいものは個別に購入する必要があります。
例えば、害虫対策の1つ「あんどん囲い」に使う資材(ポリエチレン製のシート)は、シェア畑では用意がなかったと思います。この方法で害虫を防除したい場合は、常備品のマルチを切って使うか、個人で資材を購入するかになります。
参考サイト:NHKみんなの趣味の園芸
またシェア畑は、ポリフィルム素材のマルチのみ扱っていましたので、「敷き藁」を使いたい場合は、個人で購入する必要があります。
──ありがとうございます。シェア畑でも少しこだわりを持って栽培しようと思うと、追加で必要な道具が出てるく可能性もあるということですね。
まとめ
初心者が畑仕事で必要な道具は、借りる畑やその広さ、土の状態によって変わるようです。
シェア畑のようにそもそも畑道具を揃える必要の無い畑もありますので、先ずはどのような畑を借りるかを決め、その後にじっくりと必要な畑道具を選んではいかがでしょうか。
東京都内の貸し畑がどこにあるのかは別記事にしていますので、都内で貸し畑をお探しになる際にはぜひご利用ください。
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